はひふへほな事情


日本橋川に掛かる橋を全部巡ってみたいと思っていた。
目的は特になく、何も求めない。いつもの「なんとなく」というやつである。
でも、「カメラなしで歩いてごらんよ!」なあんて言われたらきっと歩かない。その気にもならない。

手ぶらでは移動できない、っつーまぁその、所謂「ド変態」になってしまった(だって、カメラ持ってると退屈しないんだも~ん)。

日本橋川は水道橋(神田川)から隅田川に流れている川で、昔は重要な輸送ルートだったらしい。慶長5年(AC1600 関が原の戦いの頃)に運河として造られたということであるから今年で410歳になる。川としてはまだまだ若造だが、今はいくら贔屓目に見ても若々しさなんて微塵も感じられない。死んだような川にしか見えない。

実はついこないだまで日本橋の橋の下を流れている川の名前を知らなかった。ホント。
ま、そのくらいこの川には興味がなかった。何度も橋といっしょに川も撮っているのに・・。う~ん、ひねくれた言い方をすれば、この川は少なくとも自分には興味が沸くような姿形を過去一度も見せることがなかったんだと思う。気配を消してしまいたくなる「はひふへほな事情(*1)」がありそうだ。
この川を美しいと思って眺めることができる箇所は実際多くはない。あのわざわざ圧迫感だけをコンセプトに設計したみたいな悪名高き首都高速道路がこの川から目を背けさせる原因の大部分になっているんだろうけど。

銀座、京橋、日本橋あたりはわりとよく行くほうで、日本橋近辺に行ったときには必ずと言っていいほど橋を見に行くか、ただ単に橋を渡ってくる。なぜそうしてしまうのかは自分でもよくわからない。嫌な感じのする場所には自然に足が向いたりはしないから、たぶん身体のどこかが心地良いと感じているんだろうね。特に忘れられないような思い出があるわけじゃもちろんないし・・・不思議。自分だけのパワースポット(ワンダースポット?)と言ってもおかしくないかも。

先日、新橋から神田までJRの高架下をテクテクと歩いたついでに、神田駅から日銀通りを通って日本橋に向かった。西河岸橋に出た時に、ふと日本橋川に沿って隅田川まで行ってみたくなった。
日本橋川の全長はとにかく短い。地図で測ってみると 5km 弱。それを途中から歩いたわけでゆっくり歩いていったのに、あっと言う間に隅田川まで出てしまった。
短い距離だけど川の真上を覆う高速道路からとてつもなく重い圧迫感がずっとつきまとってあまり気分の良い散歩コースではなかった。

高速を走る車は下からは見えないけど、その暑苦しい存在や濁った空気感は支柱の薄汚い景観と相まって、そこを歩くのはまるで×ゲームのよう。うまく言えないけど一種の暴力だと思った。この異様な雰囲気に周辺の人たちは慣れっこになっているんだろうか。川沿いを歩いているのに高速道路下の道を歩いているのと変わらない。想像通りの、いや、想像以上のワルイ気が流れている感じがずっと続いた。もし、神田川(水道橋)から歩いていたら途中で嫌になって逃げ出してしまったかもしれない。

で、川はどうかと言うと、目をそむけたくなるというほどではないにしても特に見たくなるような箇所は普通に歩いているくらいでは見当たらなかった。いまでも川としての役目は立派に持っていると思うけど、その姿は舞台裏といった感じ。陽が当たっていても暗~い。こんなになるならいっそのこと蓋をして高速下は倉庫にでもして見えなくしちゃえばいいと思うけど、そうしなかった理由があるんだろうか。・・・ひょっとして橋を残すため?

高速道路の社会的な貢献度は十分理解できるけど、もしも・・と、頭の中で首都高を消し去って、以前WEBページで見た散策のための遊歩道がある水辺を活かした公園をイメージしてみると、確かに東京の街が今より512倍くらい輝きを増すような気がしてくる。実際にそうなって欲しいと思った。
水の流れを主役にする暮らし方がいいね。元々運河だとしても。

追記:
しかし、川を背にして建てられたビルが多すぎる。川の両側の建物は入り口も窓もベランダも開口部を大きくして川に正面を向けるといい。手本になるような川といっしょに上手に暮らしている町は他にいくつもあるのでぜひ参考にしてもらいたいものだ。

・・千葉モノレールの葭川公園駅付近も川に沿って新しいイメージの広場があったりするんだけど、周りの建物がまるでダメ! 改築するなりして川に正面を向けた店舗スペースをいくつも作るとまるで違う場所になると思う。オープンカフェがあったり・・。もしそうなったら競って出店したくなるようなスペースになることは間違いないと思う。ビルの壁面もいろいろできそうだし・・・。天井は倉庫のように高いといろいろ理想的だよね・・。
ま、海浜幕張駅のビジネス街に会社を作るより、川の近くがいいよ、ってな若い経営者が増えるといいんだけど。千葉大に街作りの研究チームがあるそうなのでいろいろアイデアを練ってほしいなあ。
:追記ここまで

写真は日本橋川が隅田川に合流する直前にある豊海橋(数日前にも別視点の写真をUP)。奥に見えているのは永代橋。
日本橋川に掛かる橋は漁を終えて家路に就く船頭のために今どこを通っているか迷わないようにそれぞれ形状の異なるデザインをわざわざ選んで造られたらしいね。
「チッ、よけーなことしやがって、ンなろ! てやんでい、べらぼーめ!」
なんて言われていたんだろうけど。・・昔の役人は愛があった? へへへ。

*1:はひふへほな事情
はひふへほは人が笑う時の様子を表わすことのできるひらがな50音「は行」の5文字。一つの文字を繰り返し使用することで、または他の文字と組み合わせることで気分や心の状態まで伝えることができるコミュニケーションツールとして人気も好感度も高い文字である。しかし、5文字を並べて使ってしまうと意味が不明になるばかりではなく・・・。とまぁ、そんな事情。