MIDI で遊ぶ①
オルゴールを知ってますよね、ぜんまい式の。自動演奏装置ですね。
自動演奏装置の歴史は古くて、タンスより大きな自動演奏オルガンもありました。まぁ一部の裕福な家庭にしかなかったようですが。その後、電気式オルゴールを経て、電子回路で自動演奏する楽器に発展してきました。そしてマイコンを使った自動演奏へ。
このマイコンによる自動演奏では電子楽器の演奏データを機器間で転送・共有するための共通規格が生まれました。MIDI(ミディ、Musical Instrument Digital Interface)という名称で基本的な部分は制定時の 1981年から変わっていません。
その MIDI 規格のデータを使って演奏する電子音源にも基本的な音色マップとコントロールチェンジなどを規定した統一規格 GM 規格 (ジェネラル・ミディ General MIDI)が生まれ、この規格に対応している音源であれば音源製造メーカーが変わったりしてもほぼ意図した通りの楽器で演奏ができるようになっています。
MIDI 規格制定当時の古いデータでも何ら問題なく現在の高音質の音源で再生演奏することが可能(※1)です。
※1:ただし、MIDI データは作り方によっては棒読みのような味気ない演奏をするものもあります。ミュージシャンが実際に演奏しているような演奏表現を可能にするコントロールデータが書き込まれたものを除き、巷に溢れている MIDI データの大半は音の高さと長さと大きさだけのデータだと思っていいでしょう。作り手しだいですね。
※市販されている MIDI データの多くはアーティキレーションまで意識したデータが多いようです。かと言ってフリーの MIDI データがすべて演奏表現を楽しめないかと言うとそんなことはありません。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、とりあえずパソコンで普通に演奏が楽しめる MIDI 規格に対応した データや音源を使って実際に演奏させてみましょう。
◆MIDI データを演奏させてみよう。
はい、まずはここからですね。
windows の場合、OS に付属の MediaPlayer で MIDI データを演奏させることができます。
※たぶん c: ドライブのどこかに MIDI データがあるはず・・・。
お、windows11 でもありましたありました。
C:\Windows\Media フォルダの中に3つの MIDI ファイルがあります。
・flourish.mid
・onestop.mid
・town.mid
※これらの MIDI ファイルは有名でして、
Windowsの中にある謎の音楽ファイル「onestop.mid」の作曲者は一体誰? :)
でも取り上げてます。
かなり洗練されたシーケンスデータなのですが、デフォルトの MediaPlayer で実際に演奏させてみましょう。
え~・・なんともしょぼい音がすると思います。
※マイクロソフトは未だに普通に聴ける程度の GM ソフト音源を OS に含めないんですよね~。・・たぶんですが、 MIDI 規格や GM 音源の規格制定時に仲間外れにされたという思いが根深く残っているんでしょうか。子供か!? って言いたくなります(笑)。なぜか大昔のままの特別チープに作らせたソフト音源を未だに使ってます。すごいでしょう? やれやれ。
◆もうちょっといい音で鳴らしたい場合、まずはフリーのソフト音源付き MIDI プレイヤーがあるのでそれを試してみましょう。
たくさんあるのですが、中でも楽器メーカーの YAMAHA が無料で公開している、
「MidRadio Player」
がとてもよい音がするのでおすすめです。
※Vista 時代に作られたソフトウエアですが、windows 11 でもちゃんと動作しますので、まずはこれをダウンロードして演奏させてみましょう。
YAMAHA MidRadio Player ダウンロード ※Mac 版もあります。
上記からダウンロードしてインストールしてください。
◆次に、ちょっと下準備というか最初にやっておいたほうが後になってなにかと混乱せずに済むので、 MIDI データの保存フォルダを作ってしまいましょう。
C: ドライブはなるべく避けて、任意の別ドライブのルートに MIDI フォルダを作っちゃってください。
※後でさらにフォルダをいろいろ追加しますが、とりあえず。
◆次に MIDI を演奏させるデフォルトのアプリとして MidRadio Player を設定してしまいましょう。
エクスプローラーでさきほどの MIDI データファイルを右クリック、
”プログラムから開く”→”別のプログラムから開く”→”その他のアプリ”から YAMAHA MidRadio Player を選び*1: →
“常にこのアプリで .mid ファイルを開く”という項目にチェックマークを入れます。
これで MIDI(拡張子 mid) データファイルをダブルクリックするだけで YAMAHA MidRadio Player が演奏してくれるようになります。
*1:YAMAHA MidRadio Player の場所は、”C:\Program Files (x86)\YAMAHA\MidRadio Player\MidRadio.exe” です。
どうでしょう? windows MediaPlayer のへっぽこな音とはまるで次元の違うちゃんと楽器のような音で演奏が聴けたと思います。
(アップルの QuickTimeプレーヤー も MIDI データの演奏ができます。
・QuickTime | https://support.apple.com/ja_JP/downloads/quicktime
↑ここでダウンロードできます)
それとスマホでもとてもよい音で鳴る「MIDI Clef Karaoke Player」というアプリがあります。
参考:
・その他、MIDI データを聴いて楽しむには、ネット上でクラシックのピアノ曲(ショパンでもなんでも)とかを検索してダウンロードして聴いてみてください(キーワード:クラシック ピアノ MIDI で検索するといいかも)。かなりピアノに近い、耳なじみの良いピアノの音色で演奏を楽しむことができるようになります。
・次のおすすめはソロのパイプオルガンの曲ですかね・・。まぁバッハのオルガン曲がそれなりに楽しめると思います。
以上は割とフツーに聴けると思います。鍵盤楽器は音の高さ、長さ、打鍵の強さ(オルガンの場合は全体の音量)だけの情報でなんとかそれらしく演奏してくれます。ピアノの場合はソフトペダルやサスティーンペダルのデータがあるとさらにそれらしく聴こえます。それとクラシックの楽曲の場合はテンポ調整ですね。これがそれなりに聴こえる要素の重要な要素になっています。ポピュラーミュージックのようにンパッンパッと一定のテンポでは演奏しません。クラシックが嫌いな人はあの何とも大げさでみっともない抑揚のついた演奏とテンポの変動が大嫌いです。わざとらしい。
で、ポップスやジャズ、ロックなどの MIDI データはあまりうまく聴こえてきません。安っぽいいかにもニセ物のような音に聴こえてしまうものがほとんどです。まず、楽器の音がウソ臭いですよね。夜店に並んでるようないかにも安物の音・・。
「ヘンな音~!」とか「なんか違う!」ってカンジになると思います。普及クラスの音源ではあまりリアルな音は出ません。それと グルーブ感 ですね。機械的に刻まれるテンポではノリを感じられない。
「これ・・アーティキレーションやグルーブを変えればもうちょっとマトモに聴こえるんじゃないか・・」
などなど、ちょっとでも楽器を手にしたことがある人はそんなことを思うかも。
データの作り方がおかしいとか・・。
このヘンなカンジを「なんとかできるのかなあ?」と疑問を持つ人と、ここで「もう MIDI は聴かない」 ってなっちゃう人に分かれると思うんですよね。
で、「なんとかできるのなら少し遊んでみようかな?」という人に向けて具体的な方法を中級レベルになれる程度に案内したいと思います。
- つづく -